家が建った瞬間から家の老化は始まっています。屋根や外壁は家を守る大切な部分で、大抵のことでは修理が必要な状況までなりません。しかし、経年劣化は避けられなく、仮にメンテナンスをおろそかにしてしまえば、最悪の場合、屋根ならば葺き替えが必要な状況も出てきてしまいます。それを防ぐ方法が、屋根の定期的なチェックと危険信号を見逃さないということです。人の体が病気の際に不調を訴えるように、家も不調があった場合はサインを出してくれているので、そのサインを見ていきます。
瓦の割れ
瓦が割れる原因の大半は、何らかの衝撃が瓦に加わることです。例えば、アンテナや太陽熱温水器、太陽パネル設置、補修時に衝撃が加わり割れるケースです。その他にも、鳥などの動物が落ちるといったことでも割れる場合があります。瓦が割れた場合はそのままにしておくと浸水が起きたり、また落下するなどして危ないため早目に新しい瓦を葺き替える必要があります。
瓦の寒割れ(凍害)
瓦の表面に水分が浸透し、その水分が凍って弾き割れる現象です。冬のとても寒い極寒時、瓦の表面に水分が溜まる環境の所で発生します。日の当りにくい北側の雪溶けしにくい所や何らかの水漏れでいつも水分が溜まる所に多く見られます。瓦が割れると落下の危険性が高まるので早急に対策をしましょう。
漆喰の劣化
漆喰は瓦と棟土との隙間を埋めている大切な部分です。漆喰が劣化すると、棟土に雨水が浸透して、棟の崩壊、雨漏りの原因となります。瓦屋根のメンテナンスでは基本的なチェック項目となります。
瓦のズレ
風や振動、葺き土のズレ、桟木の損傷によるものなどが原因で重なり合っていた瓦がずれることがあります。ずれることで落下の危険性が高まります。
棟の崩れ
瓦の寒割れや、棟土に水分を含み草木の種子が発芽して崩れに繋がる場合があります。他にも、振動や地震などで崩れたり、台風で崩れることもあります。太陽熱温水器や太陽光パネルの設置が適切でない為、棟を押しつぶしてしまう事も原因になりえます。家の形自体が変わる、雨漏れの原因になるなど大きな損害になる場合があるので、定期的な確認ですぐに対応できるようにしましょう。
谷の不具合
葺き土の流出、瓦の脱落、谷板金・銅板の損傷劣化などが原因で、屋根と屋根の間にトラブルが生じる場合があります。長期間酸性雨が一点に集まり銅板に穴が開いてしまう事もあります。谷は、雨漏りの原因で最も多い部位です。
瓦の色あせ
瓦は塗膜で全体を保護しているものもあります。塗膜は7~8年頃から劣化が始まります。釉薬を塗らない瓦の場合は、より色あせ・劣化が早いです。
鉄部の錆
屋根の中で最も劣化が早い部分です。放っておくと穴が開き、雨漏りの原因となる恐れがあります。錆防止の塗装を定期的に塗るなどして、錆びてしまう前に対策をするのがよいでしょう。
陸屋根防水の劣化
平らな陸屋根は雨水がたまりやすいです。防水をすることで、劣化を防ぐことができます。防水の種類は、ウレタン樹脂、FRP防水、ゴムシート、塗布などがあります。
再塗装後の不具合
瓦の塗装は慎重に行わないと、塗膜がすぐに剥がれてきたり、ミクロの隙間ができてそこから雨が浸水し(毛細管現象)、雨漏りの原因にも繋がります。業者選びもしっかり行うことが大切です。
屋根の耐久年数について
屋根の耐久年数は基本的には屋根材によって変わります。屋根材別の耐久年数の目安です。あくまでも目安で、劣化が激しい場合は費用も工期も負担が大きくなります。屋根は年中無休で皆様の生活を守ってくれています。人間が健康診断をするように、車を車検に出すように、屋根も定期的にメンテナンスをしてあげたいですね。
瓦 一般的に20~50年と言われています。漆喰やズレなどのメンテナンスを怠らなければ、瓦自体は100年以上もちます。しかし、瓦のズレによって下地に雨が浸入し、葺き替えしなければならない場合も多いです。
ストレート系 多くの場合で約10年で再塗装をする、または約20年で葺き替えやカバー工法、瓦への葺き替えをされるパターンが多いです。
金属系 金属の材質にもよりますが、目安としては約8年で塗装をするといいでしょう。
屋根のチェックポイント
具体的な危険信号は既にみましたが、定期的にチェックを行っておくといいポイントをまとめました。
□破損している
□瓦が破損している
□瓦がずれている
□瓦が浮いている
□谷に穴があいている
□しっくいが割れている
□棟板金が破損している
□カビ・コケが生えている
□釘浮きがある
□ヒビがはいっている
□隙間がある
□板金が錆びている
□天井、壁に染みがある