屋根工事の種類

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屋根と外壁は家を守る外枠です。屋根がなくても、外壁がなくても家の形は保っているかもしれませんが、雨風はしのげず、

周りから丸見えの家は心休まるどころか心が穏やかでいる方が難しい代物でしょう。

とは言っても、「家」を新築であれ中古であれ購入すれば屋根は必ず付いています。当たり前のようにあるので、

私たちはその存在がこれからもずっとあるものと思ってしまいますが、実際には体が老化するように家も年々老化しています。

老朽化した屋根は見た目も美しくなく、また屋根の大切な役割である「家を守る」という部分でも機能が劣ってきます。

そうなったときに、「じゃあ家を建て替えるわ」と即断できる金銭的・時間的余裕があれば問題はないのでしょうが、

実際には建て替えるほどの余裕がない場合が多いでしょう。「屋根工事」はそのような屋根だけ直したい、という場合に行う工事です。

具体的には下記のような工事があります。



1.屋根の葺き替え

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屋根を直したい、といった場合に一番に思いつく工事かもしれません。これまでの屋根を撤去して新しい屋根に葺き替える工事です。最近では老朽化した屋根を直すためではなく、耐震性の面から軽い金属屋根に葺き替える工事も増えています。葺き替えは【日本瓦】→【日本瓦】、【日本瓦】→【スレート】、【スレート】→【スレート】、【スレート】→【ガルバリウム】、【トタン】→【ガルバリウム】があります。これからは、【ガルバリウム】に葺き替える家が増えてくると予想されます。デザイン性もあり、ステンレスほど高価ではないものの、耐錆も10年(メーカー保証)と長いためです。



2.屋根カバー工法

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屋根を修理する必要があり、工事費を安く、そして工事期間は短くしたいという人に向いているのが屋根カバー工法です。これはこれまでの屋根の上に新しい屋根を被せるという工法です。メリットも多いのですが、反面デメリットも多く、カバー工法を考えている方はデメリットもよく理解した上で検討してください。そのデメリットとはずばりこれまでの屋根の上に新しい屋根を置くからです。カバー工法でよく行われるのが、スレート屋根の上にガルバリウム屋根を葺く方法です。このスレート屋根ですが、古いものですとアスベストが使われていました。アスベストの健康被害については多くの人が知るところだと思いますが、その屋根(言い方を変えれば有毒物質が出る屋根)をそのままに新しい屋根をしたとしてもアスベストによる健康被害の可能性はそのままです。また、折角耐震のことを考え軽い素材のガルバリウムにしても、元の屋根が乗ったままだと重さは軽くなるどころか、より重くなってしまいます。更に、今後雨漏りなどの修繕を行いたい場合も屋根が二重になっていることで工事ができない、もしくは工事費が跳ね上がる可能性は大いにあります。それでも、カバー工法は急いで屋根を直したいという方の希望に添える方法です。



3.屋根塗装

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屋根の葺き替えをするほどではないけれど、見た目にも劣化を感じてきたら早目に対処しておく方が費用面を抑えることができます。住んでいると意識することはないと思いますが、瓦屋根以外は定期的に屋根の塗り替えを行う必要があります。最近では、遮熱・断熱といった塗るだけで付加効果がある塗料が人気のようです。屋根塗装のメリットは、防錆性が高まり、棟板金やトタン屋根などの錆の発生を抑えることができる。防水性が高まる。現在の雨漏りを止める性能はありませんが、将来の雨漏りリスクが低減することができる。屋根材が保護できるため、スレートや金属部分の腐食が防止でき、屋根の葺き替え工事が不要または延期することができる。抗菌性が高まり、スレートのコケや、屋根下地部分のカビを抑えることができる。といったものです。反対にデメリットは、雨漏りがする。すぐに剥がれる。といったものです。雨漏りが起きる原因はご自身で行った場合や悪徳業者などに捕まった場合などの「塗りすぎ」です。たくさん塗るほうが、早くて簡単に塗装が終わります。しかしそれにより、細かな隙間ができ雨水が浸透しやすい環境になってしまっているのです。すぐに剥がれる原因は、塗装前の高圧洗浄や錆落としが不十分なために起こります。



4.漆喰補修

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瓦屋根で定期的に補修してあげたい部分が漆喰です。およその期間として15年に1度は漆喰の補修が必要と思っておきましょう。漆喰が劣化してくると瓦を固定する力も弱まり、屋根がずれたり、落下したりと危険です。漆喰の補修は崩れた漆喰を取り除き、葺き土を整え、再度漆喰を塗りならすという工程が必要となります。聞くだけならば素人でも見様見真似でできそうですが、実際に屋根に上っての作業は危険が高いですし、漆喰をならす工程も思いのほか職人技が必要となってきます。漆喰の塗りすぎによる雨漏れ被害も多いのが現状です。



5.棟板金交換

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屋根の中で最も風の影響を受けやすいのが棟板金です。台風や大風の後は「飛散してしまった」、「変形してしまった」などのお問い合わせが多くなります。板金という言葉は聞いたことがあっても、棟板金という言葉には耳馴染みがないかもしれません。胸板金とは、主にスレート(カラーベスト・コロニアル)系の屋根を止めている金属部分のことを言います。屋根と屋根の面が合わさる山状(棟)の接合部分は当然ながら雨水が染みやすい場所です。その部分を覆って、水の浸入を防ぎ、さらに屋根材を固定しています。屋根の一番頂上にある部分を「大棟」、大棟の端から四隅に伸びている部分を「隅棟」と呼びます。この部分は家の中でも一番高い場所にあり確認づらいこともあり、浮き上がってしまったり、飛んでってしまったりしていても気づかないことがあります。雨漏りをしていて原因を確認したら隅棟がなくなっていた、ということにも!確認作業、補修作業ともにも高い場所での作業が必要となるため、業者に頼むのがよいでしょう。



6.雨樋交換

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雨や雪などが降った際に活躍するのが雨樋です。しかし、晴れていれば使わず、また雨の日に確認することも少ないため補修・交換が必要なことに気づきにくい場所でもあります。この雨樋は、ただ単純に雨を流してくれるというのではなく、建物に水が浸入して腐食するのを防ぐのにも大切な役割を担っています。 もしも、雨樋がなかったら雨水が屋根の軒先から外壁に直接伝わり外壁内部を腐食させてしまうでしょう。また、屋根から雨水が直接地面に落ちれば、地面に溝を作り、建物の基礎回りを不安定にさせ、結果家の老朽化が早まることにもなります。小さく目立たないながらも、大切な部分なんです。一見屋根とは関係ないようにも見えますが、基本的に雨樋は屋根に受けた雨水を流すので屋根とは切っても切れない関係にあるのです。その大切な雨樋が壊れる原因は、【落ち葉などのゴミが詰まっている】【雨樋の傾斜が正常でない】【経年劣化している】【雨樋の継手に隙間がある】【風や雪の影響】が考えられます。雨樋でゴミが詰まる個所は、集水器の入り口です。近くに樹木がある場合は、落ち葉が詰まっています。その他にも、鳥の巣・ビニール袋・小動物の死骸などが詰まり、結果雨樋から水が漏れることになってしまいます。対処方法は、詰まった場所にもよりますが、基本的にはゴミを取り除くこと、今後詰まりの原因になりそうな突起物などがあればヤスリで削ります。本来であれば水が流れるために斜めになっていなければならない雨樋が、流れる方向ではなく反対方向に傾いていたら……。そのような状態だと大雨が降った場合には、雨水がスムーズに流れず水が溢れてしまうでしょう。対処方法は、雨樋を支える「指示金具」を付け替えます。雨樋の寿命は通常20~25年と言われます。それを過ぎると雨樋に穴が開いたり、金具から外れる、雨樋同士のつなぎ部分が外れるなどして水が漏れる症状が出てきます。応急処置として、コーキング(目地材などで隙間を埋める)や塗装することも可能ですが、もともと素材強度が落ちているので、すぐに水漏れを起こしてしまいます。経年劣化の場合は、雨樋の付け替えがよいでしょう。接着不良や経年劣化で雨樋の継ぎ手に隙間ができ、水が溢れることがあります。隙間部分が少なければ、自分で直すこともかのうです。その場合はまず、雨樋から継ぎ手を取り外し、同じ型の継ぎ手を手に入れます。それが難しい場合は、外した継ぎ手を全体的にきれいにし雨樋用接着剤を使って隙間なく(重要です!)接着させます。接着させる際、ほこりや汚れがあると接着が弱くなるため、汚れはよくふき取ってから作業しましょう。ただし、多数の継ぎ手から雨水漏れが起きている場合は、自分でせず業者に頼みましょう。強風や雪などにより想定外の力がかかることで雨樋が変形・破損する場合があります。このような破損は1Fより2F、3F部分など高い場所で起こります。高い場所にあるので、雨樋の補修については業者に依頼するほうが安全です。仮に、火災保険に入っていた場合は雨樋工事費用が収支0円でできる可能性があります。保険会社に問い合わせてみるのもよいでしょう。



7.防水工事

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雨漏れを防ぎ、建物の内部が濡れ腐食するのを防ぐ意味で大切なのが防水工事です。屋根に防水加工を行うことで、家を健康で美しく保つことができます。特に瓦やスレートなどの資材を使わない陸屋根(平らな屋根)の場合には防水は大変重要なものになります。陸屋根に施工する防水にはいくつかの方法があります。一つ目は【塗膜防水】です。塗膜とは、防水塗料を塗って防水膜を作ることです。現在塗料は主に2種類使用されています。その一つがウレタンです。ウレタン防水は陸屋根においては、全国の防水工法の46%を占めるメジャーな防水工事の工法です。液体のウレタンを複数回塗膜することで防水層を形成し、防水を行います。液状なので、複雑な形状をした屋根面でも継ぎ目のない防水膜を形成することができるので、広く使われているのです。施工会社が多いため、技術の高い工事をしてもらえる、工程が難しくないため工事期間が短くて済むといったメリットもあります。もう一つはFRPです。FRPとはガラス繊維強化プラスチックのことで、強度が高く耐久性にも優れた素材です。このFRPを仕上げ面を含め5層塗り重ねることにより防水層を形成します。最近では屋根のほかにベランダ床などにも採用されています。乾くのが早いため、工期が1~2日程度と短い、塗装が終わった後は人が歩いても問題がないといったメリットがあります。反面、施工時に臭いがする、地震などの揺れに弱い、再塗装する場合は廃プラスチックが出るといったデメリットもあります。二つ目は【シート防水】です。防水シートを貼ることで防水します。現在使われれている防水シートは主に2種類あります。その一つ目は、塩化ビニールシートです。塩化ビニール樹脂の防水シートを接着剤などで屋根面に張り付ける工事です。シート状の防水材なので、複雑な形状の屋根には向いていません。工事が終わったら人が歩くことができる、シートの色を選ぶことができる、紫外線や熱・オゾンに強いといったメリット面があります。デメリット面は、高い技術力と経験が必要なため施工不良が生じやすい、耐久年数が10~15年と短いところです。もう一つは、ゴムシートです。シート状になった合成ゴム系の防水シートを使って屋根面に施工します。部分防水補修に最も適した工事といえます。特徴は、ゴムが温度による変化が少ないので成功地域の制限が少ない、耐久性も比較的高い、短期間で工事が済みコストが安く済むといったメリットと、薄いのでやや損傷しやすい、接着剤の耐久年数がすくないので雨漏りすることが多いデメリットです。三つ目は【アスファルト防水】です。アスファルト防水は、防水材を「塗る」+「貼る」という二つの工法を組み合わせた複合工法です。合成繊維不織布にアスファルトを含ませたシート状のルーフィングを貼り重ねて形成する工法です。水密性に優れた防水層ができます。成功方法には2つあり、一つはトーチ工法です。これは、ルトルーフィング(板紙にアスファルトを染みこませた防水材)に含ませたアスファルトを炙りながら液状化し、塗るようにアスファルトルーフィングを張り付ける工法です。トーチバナーだけで施工できる、施工不良が少ない、高い技術力や経験がなくても施工が可能といったメリットがあります。もう一つは、常温工法です。防水工事でアスファルトを使用する場合に常温で材料を付着させる工法のことを言います。熱に頼らないため「冷工法」と呼ばれることもあります。液状のアスファルト材を用い、ルーフィングを複数枚交互に貼り合わせます。トーチ工法に比べ、熱を使わないため煙がなく周辺の環境にやさしい、工事中の臭いの発生も少ないというメリットがあります。デメリット面は、トーチ工法より技術力が必要なため、接合には細心の注意が必要なことです。以上が陸屋根の防水に関してですが、三角屋根も再塗装をすれば雨漏りが止まるのではないか、と思う人が時々います。残念ながら三角屋根の場合は塗装で雨漏りが止まることはほとんどありません。三角屋根で雨漏りを留めたい場合は、一旦屋根材を取り除き、ルーフィングを新しいものに張り替えるしかありません。