屋根の豆知識

home > 屋根を知ろう > 屋根の豆知識

屋根の工事を行う場合、知っていると業者さんとの打ち合わせがスムーズにいくことがあります。また、屋根について知ることでお住まいのトラブルに早めに気づくこともできます。病気と同じで早期発見になるほど、費用的にも時間的にもすばやく補修・改修することができます。


屋根の勾配と屋根材について

屋根の勾配と屋根材について

かつて屋根のデザインは環境(地域)により大きな特色がありました。それぞれの環境に応じた進化を遂げてきたともいえます。最近の家屋は様々な環境や災害に応じた強いものが多いため、地域差は感じなくなってきています。しかし現在でも、そのデザインを見れば屋根の得手不得手がわかります。その一つが屋根の勾配です。普段あまり気にすることはない部分ですが、屋根はその勾配と屋根材によってさまざまな制約を受けます。一般的には勾配がきついほど水切れがよく、雨漏りのリスクは軽減されると言われています。反対に勾配が緩やかな場合は、雨水が流れにくいため雨漏りのリスクが高まります。しかし、瓦のように重たい屋根材だと、急勾配では瓦がずり落ちる危険性があります。ですから、瓦屋根の場合、ある程度の勾配にとどまることが多いです。日本の昔の家では合掌造りなどがあり、雪で家が潰れないようにするため、かなりの急勾配となっています。合掌造りの屋根材は、萱です。相当な重量になりますが、それを支えることができる梁・柱を使っているため可能になった家屋です。最近では、急勾配の屋根では金属などの軽い素材が使われることが多いです。緩やかな場合も水切れの観点から使える屋根材はだいぶ絞られてきます。防水性の高い金属屋根が使われていることがほとんどです。金属屋根材は防水性の高さ、軽さ、加工のしやすさから屋根の勾配に関わらず使える万能屋根材と言えます。金属屋根材には、【ガルバリウム鋼板(カラー ガルバリウム)】【フッ素ガルバリウム鋼板】【カラーステンレス】【フッ素ステンレス】【カラーアルミニウム】【フッ素アルミニウム】【銅板(緑青銅板)】【ZCS (亜鉛メッキステンレス)】【チタン】【塩化ビニル樹脂鋼板(塩ビ鋼板)】【銅メッキステンレス(カッパーsus)】などがあります。

軒天

軒天が外壁の寿命を決める?

家の構造を見ているとほとんどの家で外壁から張り出している屋根部分があります。この天井部分は、軒天と呼ばれています。軒天の張り出し部分には広い・狭いがあります。広さは、屋根の形状や屋根材によってある程度決まってきます。一般的には広いほうがより外壁が守られやすいというメリットがあります。広ければ日が当たりにくく、雨のかかる面積も少なくなるからです。狭い場合はその反対なので、劣化スピードが速くなるということです。しかし、軒天が広くなるということは屋根の重量が重くなるので耐震性という部分では弱くなってしまいます。

雨樋

雨樋は屋根に合ったものを選ぼう

屋根には様々な形があります。日本の家屋で多いのは、寄棟屋根と切妻屋根でしょう。寄棟屋根は上から見ると面が4つある屋根です。切妻屋根は、2面です。ですので、小さな子供が描く家は切妻屋根ということになります。雨が降った場合の水の流れは、寄棟屋根の場合は4方向に、切妻屋根の場合は2方向に流れます。同じ雨量だった場合、1方向辺りの水量がより多いのは面の少ない切妻屋根となります。片流れ屋根であれば、より多くの水量が一つの面に流れることとなります。結果、それを受け止める雨樋も水量に合わせたものしなければ水量がオーバーし水が溢れることになってしまいます。寄棟屋根よりも切妻屋根、切妻屋根よりも片流れ屋根が大量の水を受け止めることができる雨樋が必要です。もちろん、屋根全体の面積も水量に関わってきます。大きな家で、大きな屋根であればあるほど屋根を流れる水量は多くなっていきます。

塗料

塗料について知ろう!

1.色を付けるだけが塗料の役割ではない これまで屋根塗装や外壁塗装といえば、建物への浸水を防ぎ、美観を保持するという目的が大半でした。ここ最近、それらの目的に加え、快適機能をプラスするという目的も加わりました。たとえば、遮熱塗料を塗れば夏の日差しが屋根を温め、それが家全体を熱くするのを防げるため涼しく快適に過ごすことができます。断熱機能のある塗料を塗れば、寒い冬に家の中の暖かい空気が冷やされるの防ぐため、快適に過ごすことが出来ます。もちろん、どちらも熱効率がよくなるので光熱費の節約になります。耐汚染塗料を塗れば、建物が汚れにくくなり、たとえ汚れがついたとしても雨で洗い流されるため美観が保たれます。最近の日本は、夏の暑さが厳しくなってきたこともあり、屋根は遮熱塗料、外壁は耐汚染塗料という家が増えてきています。

2.塗料を塗る前には高圧洗浄は屋根工事には必須!

屋根や外壁を塗装する際には「高圧洗浄」は必ず行います。汚れや古くなった塗膜を洗い流さないと、折角塗った塗料がすぐに剥がれるなどのトラブルにつながるからです。高圧洗浄とは、高い水圧で汚れを弾き飛ばす洗浄方法です。高圧洗浄機は最近では通販番組でも取扱われ、家庭にあるという方もいるのではないでしょうか。屋根の塗装前に業者が使う高圧洗浄機の水圧は約150kgf/cで、蛇口から出る水道水の25~75倍の圧となり、ただホースで水をかけるのとはけた違いの水力なのです。水流も直線だけでなく回転を加えることができるため、汚れや塗料、カビを「削ぎ落とす」ように洗浄していきます。もちろんそれだけの強い力なのですでに劣化し弱くなっている場所は、水圧を落とし作業をする必要があります。現在高圧洗浄機にはガソリンエンジンや電動式のものがあります。苔やカビがひどい場合には、高圧洗浄の前にバイオ洗浄液を噴きかけ十分浸透させます。そうすることで、汚れに加え、苔やカビもきれいに取り除くことができるのです。

3.塗る部分と塗料をくっつける接着剤シーラー 塗料(本塗り)を塗る前の下塗りに使われるのがシーラーと呼ばれる塗料です。屋根や外壁と塗料をしっかり密着させる接着剤のような働きをします。最近多く出回っている機能性塗料では、専用の下塗り剤を使うよう指示されています。それだけシーラーの働きが大きいということです。女性ならば、いい化粧下地をすると化粧崩れしにくいといえば伝わりやすいかもしれません。そのシーラーには、溶剤(油性・シンナー系)タイプと水溶タイプの2種類があり、業者はそれぞれの特徴に合わせ使い分けをしています。

●溶剤タイプ(油性・シンナー系) 浸透性(含浸性)が高く、屋根や外壁に痛みがある場合に使います。痛みがある場合でも素材に浸透することで下地の力を十分発揮できるからです。塗装後、30~60分で乾燥し、水洗いをするだけで、次の工程に移ることができます。ただし、有機溶剤特有の臭いがするので近隣への配慮は必要です。また、現在塗装されている塗料の種類によっては、使用できない場合があります。

●水性タイプ 溶剤タイプに比べ、塗装時や乾燥中の臭いが少なく、環境に対する負荷も少ないのが特徴です。しかし、溶剤タイプに比べ乾燥までの時間がかかり(3〜4時間程度)、浸透性が高くないので下地の劣化が激しい場合には使えません。

下塗り剤にはシーラー以外にも「微弾性フィラー」があります。微弾性フィラーはシーラーと同じ下塗り剤ですが、名前の通り弾性があります。屋根・外壁の細かなひび割れや小さな穴を一度の塗装でカバーでき、防水性もあります。しかしシーラーと違い浸透性がないため弱った下地に対して使うことができません。どうしても微弾性フィラーを塗装したい場合は、汚れやカビなどをきれいにした上に一旦シーラーを塗装し、その上にフィラーを塗ることになります。シーラーのみにするかフィラーも塗るのかは業者が屋根が外壁の状況を見て使い分けています。

4.塗料の成分について  屋根や外壁に使われる塗料は「塗装膜」と「塗装膜にならない成分」が配合されています。塗料膜とはその名前の通り、塗装によって形成される膜のことで、主成分は樹脂で、アクリル・ウレタンなどの合成樹脂が使われています。また、発色のための顔料も塗装膜になります。塗装膜にならない成分は樹脂や顔料を薬剤に溶かすための溶媒です。その他、顔料の沈澱防止剤、色分かれ防止剤、防腐剤、防カビ剤などそえぞれの塗料に応じて必要な添加剤が配合され使用しやすく、美しく仕上がるようになっています。この塗料には様々なタイプがあり、目的にあったものを選ぶ必要があります。

【アクリル樹脂塗料】 屋根や外壁塗装に使用されることは少ない塗料です。無色透明で、高温でも変色しづらく、光沢保持性に優れています。電気絶縁性という特色のある塗料です。あまり使用されない理由は、耐久年数が少ないためです。屋根や外壁のメンテナンスが頻繁に必要となるため、避けられるパターンが多いようです。もっとも、屋根の色を数年で変えたいとかイメージチェンジをしていきたいという人ならば良い塗料でしょう。塗料としては一般的で、耐摩耗性、たわみ性がよいため床材の塗料としても使用されています。鋼材、亜鉛メッキ面、アルミ、モルタル・コンクリートにも塗装可能です。木材との相性は非常にいい塗料です。

【ウレタン樹脂塗料】 ウレタン樹脂塗料は、5~10年ほど前まで主流塗料でした。今でも木部塗装の塗りつぶしをする際などには大活躍する塗料です。ウレタン塗料には、良質な弾性質のものがあります。弾性というのは、ゴムのように伸び縮みをする性質のことです。木部は湿度などにより伸び縮みをするので、弾性のある塗料であるウレタン樹脂塗料がお勧めです。また硬さ、安定性、付着性、耐熱性に優れており、弾性、耐磨耗性、耐候性、耐溶剤性、 耐薬品性、電気特性もあるなどメリットが多い塗料です。塗膜には優れた光沢、燃焼性が少ない、常温乾燥でもその能力を発揮します。そのようなメリットも一昔前まで多くの業者で使用されていた理由でしょう。

【シリコン樹脂塗料】 他の塗料に比べ価格ははりますが、品質に対してはお手頃です。効果・美観が長持ちして欲しいという方に向いています。ウレタン樹脂を塗ると塗装膜の表面がガラス質になるため光沢が生まれます。またその表面は固いのが特徴です。もともとは一般家庭向けではなく、ビルやマンションなど長期間塗り替えをしない建物で使用していた塗料ですが、光沢感があり汚れにくい、日本の気候にも対応している、耐久性があるなどのメリットから家庭でも使う場合が増えてきました。塗装膜の膨れや剥がれも少ないため、内部結露を防止する効果もあります。

【フッ素樹脂塗料】 優れた耐候性により塗り替え回数が少なくて済み、コストの削減に貢献できる高耐候性塗料の代表です。高耐候性塗料以外でも、塗膜表面を親水性にすることで雨筋ができるのを防止したり、外観を保つ低汚染性塗料としても需要は拡大しています。シリコン、アクリル、ウレタンの場合は塗膜の劣化の目安は、つやがなくなり光沢値が80%以下になるのが5~10年とされます。フッ素樹脂加工はそれが20年以上になります。塗り替えの頻度を抑え、コストパフォーマンスを上げたい場合に適した塗料です。また、フッ素は汚れや水・油などほかの物質と反応しない性質をもっているため、汚れに対して強い特徴も持ちます。

【溶剤(油性・シンナー系)・水溶性タイプ】 溶剤タイプと水溶性タイプの違いは、塗料を水(清水)に溶かすものを水性タイプ、シンナーを混ぜて溶かすものが溶剤タイプです。どちらも耐久性はほぼ同じといえます。溶剤タイプはシンナーを使用するので、環境面から問題視する声もあります。下塗り剤でもあったように、一長一短で溶剤タイプをしようした方がよい場合もあるので状況や屋根材に合わせて判断したいですね。

屋根のメンテナンス

屋根のメンテナンス時期の目安について

屋根を長持ちさせるためには、屋根材に合った定期的な点検やメンテナンスが必要です。最近では多くのリフォーム会社が営業活動を盛んにしているので、「その築年数ならもう屋根のメンテナンスをしなければならない」や「補修しておかないと大変なことになる」などと、声をかけられている家庭もあるかと思います。中には悪徳業者もいるので、自分の家の屋根材とそのメンテナンス時期の目安を知ることは大切です。

【瓦系屋根材】 日本家屋で多い瓦屋根材は、漆喰・締直しなどを定期的に行うことで何十年と持つ屋根材です。定期的なメンテナンスが必要で維持費がかかります。セメント瓦(モニエル瓦)を使用している場合は、塗料が劣化する15~20年に一度は塗り直しが必要です。

【スレート系屋根材】 7年〜10年に1度は防水塗装が必要です。20年以上経つと野地板も傷んでくるため、葺き替えが必要となってきます。

【金属系屋根材】 石粒付ガルバリウム金属屋根・ガルバリウム金属屋根は雨風などによる災害や地震など外的要因がなければメンテナンスフリーの屋根材です。トタン金属屋根は7〜10年で塗り替えもしくは葺き替えが必要です。

単語

屋根工事・リフォームでよく聞く単語

ルーフィング 屋根を雨水や湿気から守る防水シートのことです。降雨時に屋根材の下から雨水が浸水してくるのを防ぐのがこのルーフィングです。雨漏りをした場合はこのルーフィングを替える必要も出てきます。

野地板 屋根下地の部分である垂木の上に張る屋根の下地板のことです。この野地板にルーフィングを敷き屋根材を葺いていきます。

チョーキング チョーキングとは、紫外線や風雨などの影響により、屋根・外壁部分の塗膜が劣化した状態のことを言います。手で触ると白い粉が付着することから、この名が付いたとされています。屋根や外壁の劣化具合を見る場合の一つの指針となる現象です。

概算方法

屋根の面積の概算方法

屋根の面積は、家の面積(建物の延べ床面積)をもとに算出します。坪数でのみ把握されている方は、まず下記の換算式を参考に平米数(m2)をお求めください。すでに家の平米数を把握されている方は、【屋根の面積の概算計算式】をご覧ください。

【坪数→平米数への換算式】 家の坪数×3.3=家の平米数(m2)

【屋根の面積の概算計算式】 家の平米数(m2)×勾配数値=屋根の平米数(m2) ※勾配数値

勾配があまりない(フラットな)屋根 1.05 一般的な勾配の屋根 1.10 勾配が少し急な屋根 1.20 算出例:1 家の坪数が50坪で、一般的な勾配の屋根の場合 50坪×3.3=165m2 165m2×1.10(一般的な勾配の屋根=181.5m2)

日本瓦の種類

日本瓦の種類

瓦には、住宅を雨風や日光、太陽熱から守るといった重要な役割があります。建物にとって水は天敵なので、家の寿命が屋根と基礎で決まるとも言われます。ちなみに、私たちがよく言う瓦は正式には粘土瓦と言います。

粘土瓦 粘土瓦とは、粘土(岩石が風化してできた粘性の土)を瓦の形状にしたものを乾燥後に1000~1250°の高温で焼いて作ります。表面に釉薬が塗られている釉薬瓦と塗られていない素地瓦があります。

釉薬瓦(陶器瓦) 釉薬瓦には、和型平板型S型という形の瓦があります。水が浸透しにくく、耐久性に優れているため長い年月を経ても美しい状態を保つことができます。釉薬にはさまざまな色があり、表面がガラス質なので陶器のような風合いがあることから陶器瓦とも呼ばれています。形もさまざまで、型(和型)、F型(平板)、S型等があり家や屋根の形状に合わせて使い分けをします。

素地瓦 素地瓦にはいぶし瓦、窯変瓦があります。 いぶし瓦には釉薬瓦と同じく和型平板型S型があります。形成し、窯の中に入れて焼いた後、むし焼きをし瓦の表面に炭素膜を作るため、全体的に渋い銀色をした瓦になります。日本建築の城や寺社、和風住宅の屋根に多く使われています。しかし、表面の炭素膜は経年劣化で剥がれ落ち、変色していきます。ガラス質の膜ができる釉薬瓦と比べ耐久性が落ちること、塩害や凍害といった気候への抵抗性は低いです。 窯変瓦にも和型平板型S型の型があります。デザイン上、洋風住宅の屋根に適しています。釉薬瓦に比べ、素焼きのため耐久性が劣りますが、窯で色味に変化を付けて焼き上げているのでナチュラルな色になり洋風の建物にマッチし、優しい景観をつくることができます。

日本瓦の歴史

日本瓦の歴史

日本瓦の紀元は、3000年前の中国にあります。当時中国は戦国の世で、住宅の壁に粘土を塗り火で熱し固めることにより住宅の強度を上げていたようです。その後、その技術が朝鮮半島に伝わり、日本には588年に伝来したと記録されています。日本書紀にはその時4人の瓦博士が日本に来て、技術を伝えたと記されています。そこから1400年以上の年月を重ね、日本の風土・気候に合った日本瓦に発展していきました。