屋根は街並みを形成する大きな要因です。多くの地域で、その気候に合った屋根が取り付けられた家々が並び、同じような造りの家が並ぶことで街並みができるからです。また家は、建物を守る大切な役割を担っています。気候や目的合わせ様々な形式のある屋根について紹介していきます。
片流れ屋根
昨今では太陽光発電の影響を受け、増加傾向にある屋根の形状です。屋根の向きが一方向のみになるので、発電パネルをより多く設置できるメリットがあります。
招き屋根
切妻屋根の片面を短くした形状です。片流れ屋根と同じく、屋根の一面が広くなるため太陽光発電の影響を受け、ただ今増加中の形状です。
切妻屋根
日本にいて最も見かける形状であり、一番普及しているタイプの屋根形式です。シンプルで施工もしやすく、木造住宅ではとても多い形です。和風・洋風どちらの建築でも対応できます。
半切妻屋根
切妻屋根は棟の両端の部分が垂直ですが、その部分が斜めした形状です。道路斜線や日影規制など法的な制約から使われることが多いようです。
寄棟屋根
日本ではよく見かける形状です。四つの面があり力が分散されることもあり、構造的に頑丈といえます。しかも、切り妻と較べると屋根の総面積が同じでも、各面の面積が小さくなる(切り妻は2面、寄棟は4面)ため、風圧に対しても強いといわれています。
方形屋根
建物本体が正方形で寄棟にすると、屋根はピラミッド型になります。このピラミッド型の屋根を宝形屋根といいます。寺院などで見られる建物本体が六角形で寄棟にした場合も方形と呼ばれます。ちなみに、上から見て屋根が六角形であれば「六注」、八角形であれば「八注」とも呼ばれます。
尖塔
頂部が鋭くとがった塔のことです。日本ではみかける機会が少ない屋根の一つです。
入母屋屋根
寄棟屋根の上に小さい切妻屋根を乗せたような形状で、切妻部分と寄棟部分が連続した一枚の面になっています。この形状は日本だけでなく、東アジアでも見られる伝統的な形状のひとつです。屋根の格式でいえば、寄棟屋根より切妻屋根が尊ばれ、その組み合わせである入母屋造はもっとも格式が高いとされています。京都の桂離宮などが入母屋屋根で有名です。しかし複雑な構造となっているので、どうしても雨漏りのリスクは大きくなります。
反り屋根・照り屋根
反り屋根は上に凹な曲面を与えたもの屋根です。反り屋根は社寺・城閣に多く、やや威張った、格式のあるデザインです。照り屋根は軒先の部分も曲線的に曲げられた屋根です。反り屋根と照り屋根は似ていますが、若干違いもあるようです。
起り屋根
反りとは反対に上から見て凸に反らした屋根です。棟から軒先へいくほど下り勾配が強くなるのが特徴です。通常、雨が降ると上方の棟から乾き始め、軒先には雨が留まりがちです。しかし、軒先になるほど急こう配になると、水が軒先に溜まることなく早く切れます。
尖りアーチ
ゴシック建築において主に用いられる、半径が等しい二つの円弧によって構成された頂部の尖ったアーチのことです。
蒲鉾屋根
かまぼこのような形をした屋根です。R(アール)屋根とも言います。モダンなデザインです。
腰折れ屋根(しころ葺・マンサード・駒形屋根)
しころ葺 形状は入母屋に似ていますが、切妻部分と寄棟部分の角度が違い一枚になっていないのが特徴です。大阪にある四天王寺金堂の二重目屋根や京都御所の紫宸殿などが有名です。錣(しころ)とは、兜や頭巾などの下部に布や縅などを垂らし後頭部を保護する覆いのことです。
マンサード 途中で勾配が変わる寄棟屋根の一種です。17世紀のフランスの建築家フランソワ・マンサールが考案したといわれています。日本ではほとんど見かけることはありません。
駒形屋根 形状が将棋の駒に似ているため、駒形屋根と呼ばれます。ログハウスや北海道の牧場に多いです。
蝶形屋根
蝶が羽ばたいているような形状の屋根です。V字形状の羽形状の屋根が頂部についています。落雪を防ぐため、積雪地帯では採用されることが多いようです。デザインは優れていますが、内勾配で水が溜まりやすくトラブルも起きやすいので、こまめな点検とメンテナンスが必須です
のこぎり屋根
名前の通り、家を真横から見るとのこぎりの刃の部分(ぎざぎざ)の形状をしています。連なっている垂直の壁部分に採光用の窓や開口部を設けられるとあり、工場に多く採用されてます。
越屋根
屋根の上に、換気、採光などを目的とした小規模な屋根と屋舎を設けたものです。
折板屋根
名前の通り、板が何度も折られたような形状をしています。断面の構造に重点を置いて開発されたもので、工場・カーポート・車庫などの鉄骨の建物に多く使われており、金属屋根の代表的な屋根工法となっています。
ドーム
建築における屋根の形式のひとつで、半球形をした屋根のことです。中世のヨーロッパでよく作られましたが、日本では見ることはありません。
葱花ドーム
イスラム様式の特徴の一つでもある先端がとがり、ドーム部分が丸みを帯び、葱の花のような形状をした屋根です。モスクなどで見かけることができますが、日本ではほとんど見ることがありません。
陸屋根
ビルやマンションでよく見られる平らな屋根です。使用している材料や工法にもよりますが、一般的に陸屋根の一番上にあたる部分は屋上にあたります。屋上のある家に住みたい、といった夢が膨らむ屋根形式です。ただし木造では構造的な理由から、この形状は敬遠されることが多いようです。
バルコニー
建物から外部に突き出した形で作られた部分をバルコニーと呼び、下階の屋根部分をバルコニーとして利用する形態をルーフバルコニーと呼びます。
下屋
切妻屋根の一階部分の屋根部分のことです。また、この形状は差し掛けとも呼ばれます。差し掛け屋根とは、片流れを向きを変え、頂点の位置をずらして合わせたような形状です。デザイン的な効果だけでなく、屋根の間に採光窓を設けることで2階部分の居住性の向上にもつながります。
天窓(明かり屋根)
部屋が暗いといった場合には、リフォーム時に天窓を付ける提案がされることがあります。通常の窓に比べ、屋根に取り付けることで採光性は3倍とも言われます。通気性もよいため、デザインだけでなく実用性を兼ねて採用される家があります。